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  • makotokumei5

農業と漁業の違い

農業と漁業は、同じ第一次産業で、食料を国民に供給する役割、地域活性化の役割を担っているという点は共通ですが、一方で異なる性質を有している部分もあります。


まず一つは、農業は古くから、政府によって管理されてきたこと。稲作は弥生時代から、国の根幹で、米は江戸時代の経済の中心でもあり、年貢として米を納めなければいけないなど、幕府や藩による農家の管理が行われてきました。


漁業は、米のように作付面積で収穫が予測されるわけではないことなどから、農家のように厳しい年貢の取り立てが行われたわけではなく、幕府や藩による厳格な管理が行われていたわけではありません。


次に、農業は自分が所有する土地や、小作人として地主から借りている土地は、自らで管理することが基本です。水路などは共同管理されていましたが、自分の土地は自分で耕して、年貢や小作料を納めた残りの収穫物が自分のものになります。


漁業には、個人の所有物としての水域はなく、特に沿岸漁業では、共同での管理が基本です。自分がたくさん魚を獲ることで、他の人の漁獲量にも影響が及びますし、例えば個人で魚の放流をしたとしても、育った魚は他の人も獲ることができてしまいます。このため、漁業は古くから共同管理が行われてきました。


また、多くの魚の種類があって、地域ごとに獲り方が異なるために、管理の仕方も地域によって異なってきます。


こうした農業と漁業の違いを踏まえると、農業は国が管理しやすく、漁業は伝統的に地域での共同管理が行われてきたことから、国による一律の管理が行いにくい背景があるのではと思います。


ただ、そのような背景があるとはいえ、国民への食料供給、地域の活性化、農林水産物の輸出拡大などにおいて漁業も重要な役割を果たしており、国が多くの予算をつけている以上、大きな方針を国が定めることは不可欠と思います。


国が大きな方向性を示しながら、実際の管理は魚種ごと地域ごとの特性を踏まえて議論・決定されていくような仕組みとして、海区漁業調整委員会があり、TAC対象魚種についてはステークホルダー会合が開かれることとなりましたが、こうした仕組みを更に発展させていくことが重要と考えます。


そのための鍵は、人材育成・人材発掘ではないかと思いまして、最初から全魚種で一律の制度を作ることは難しいために、代表的な魚種においてモデルとなるような取組を作れるとよいと考えます。



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