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  • makotokumei5

漁業を強くするために、一定の競争が必要

有機農業を実践する久松さんという方の「農家はもっと減ってよい」という本を読みました。


日本の農業がいつまでも強くなれないのは、補助金や農地の税制などによって小規模農家が小さいまま兼業で農家を続けられる仕組みがあるから、ということが書かれています。


本当はもっと農業の構造改革を進めて、今よりも強い農業を作ることができるのに、一時的な痛みの先延ばしをずっと続けてきたために、30年以上前から目指している農地の集約や農業の規模拡大がなかなか進んでいない実態があります。


これは、漁業にも当てはまる部分があるのではないでしょうか?


本来、日本は海に囲まれてよい漁場がたくさんあり、漁業を行う環境としては他国と比較しても恵まれていると言われています。


日本の国土は平地が極めて少ないので、農業は米国やオーストラリア、フランスなどと比較しても同じ土俵で競争をするとどうしてもコストが高くなってしまいますが、漁業は条件面で他国よりも不利ではないのです。


それなのに、なぜ日本の漁業は、儲かる産業となっていないのか?


産業を強くするためには、政府の関与をできるだけ少なくして、強い人、頑張る人がどんどん伸びて、一方で、弱い人は退出するような仕組みが必要になります。


飲食業がよい例ではないかと思いますが、味が悪くて人気のないお店が淘汰されるからこそ、日本の飲食業は、低価格で味もサービスもよいお店が多く、世界の中でも有数の競争力を有していると言えます。


漁業の場合は、赤字で経営が成り立たない漁業者がいると、政府の補助金で赤字を補てんして何とか経営を続けることが一般化しています。コロナ禍や不漁などの一時的な要因によって経営が破綻しないような経営安定の仕組みは必要ですが、一方でそれが行きすぎると、厳しい言い方ですが、弱い漁業者が温存されて、いつまで経っても産業が強くならないことになります。


漁業者や漁業団体の立場からすれば、出来るだけ政府に補助金を出してほしいと考え、そのような要望を出すのは当然ですが、それを政府や政治家が安易に受け入れることを続けていると、緩やかな衰退が続いて漁業が発展しないということではないでしょうか。


そうしたことを指摘して、発信していくのも、環境団体や研究所に求められる役割かも知れません。




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