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  • makotokumei5

水産資源の回復と適切な管理に向けた「5つの提言」の公表

今週、当研究所が事務局を務める「資源回復を目指す水産フォーラム(資源回復フォーラム)」の提言を水産庁長官に手交し、公表しました。


資源回復フォーラムは、元水産庁OB、研究者、漁業関係者、市民団体、環境団体の代表などからなる有識者に参加いただき、減少しつつある水産資源を回復して、採算のとれる魅力ある水産業を作るために必要と考えられる策について議論し、その結果を5つの提言としてまとめました。


まず背景として、漁業や水産資源をめぐる非常に厳しい状況があります。水産に関わる方の共通認識として、

・漁業生産量の大幅な減少

・高齢化の進展による漁業者の減少

・漁業者の収入も非常に厳しい状況にあり、漁業だけでは稼ぎない状況が生じつつあること

などが挙げられます。(詳しくは5つの提言の23〜25ページ)


しかしながら、本来、日本は豊富な水産資源(排他的経済水域の面積は世界第8位、体積では世界第4位。黒潮と親潮がぶつかる豊かな漁場など。)の環境に恵まれており、農業と違い水産は条件面で海外と比較して不利な状況ではありません。


そうした中で、なぜ水産が衰退産業となっており、この状況を変えるために何が必要か?


単純な答えがある訳ではありませんが、資源回復フォーラムで議論してまとめた内容は、次のようなものです。


まず、魚が獲れなければ水産業も関連産業も漁業をベースとする地域社会・経済も成り立たないことを踏まえれば、「資源の回復と適切な管理」が、水産業の発展の基盤となるということです。


そのために、改正漁業法が施行されて、その中で資源管理が柱の一つとされましたが、資源管理の強化を進めるためには、予算と人員体制の強化がなければ、結局絵に描いた餅になってしまいます。


提言では、米国との比較を例に用いながら、現状の資源調査・評価・管理の予算が不十分であることを示し、予算と人員体制の強化を訴えました。(提言の1と2)


また、現在、トップダウンで資源管理を進めるとの方針に現場から反対が相次でいることを踏まえて、資源管理について漁業者の納得による主体的な参画を促す仕組みについての提言を行いました。(提言の3と4)


次に、なぜ日本の水産業が衰退傾向にあるかですが、現在の補助金の在り方を検証すると、水産業を発展させるという政策目的に資する形になっていない(補助金自体を否定するものではないが、改善する必要がある)という問題意識があります。


漁業が継続されることは食料安全保障の観点からも大切であり、いま、厳しい状況にある漁業者を支援する補助金を否定するものではありませんが、そうした短期の視点のみで考えていては、いつまでも補助金に依存する漁業構造から抜け出せずに、本来日本の漁業が有するポテンシャルを発揮することができないと考えます。


このため、困っている漁業者のセーフティネットは確保しながら、同時に採算のとれる自立した漁業構造に向けて取り組む事業者を支援するように、補助金の要件を変えていく必要があると考えます。(提言の5)


最後の補助金の在り方については、問題提起の段階であり、より議論を深めていく必要があるでしょうが、まずは、水産業の発展の基盤である資源管理に必要な予算と人員体制の強化を図るとの部分から取り組むことが重要と考えます。










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