改正漁業法に基づき、科学的根拠に基づき、数量管理を中心とした資源管理を推進するためのロードマップが定められましたが、その進捗が予定通りには進んでいません。
その主要な原因として言われているのが、漁業者の理解と納得が得られていない、ということです。
では、なぜ漁業者の理解と納得が得られていないかというと、
・数量管理によって短期的に漁業者の収入が減る(生活が成り立たなくなる)ことへの不安
・努力量管理よりも、数量管理の方が調整にとても多くの労力がかかるが、それに見合う効果が得られるのかがはっきりしない
・また、仮に厳しい数量管理によって資源が回復したとしても、それによって収入が上がるとは限らない(供給が増えても価格が下がることへの不安)
・数量管理において、適切な漁獲可能量(TAC)を定めるためには資源評価の精度が高いことが重要であるが、資源評価の精度への疑義がある
・定置網などの沿岸漁業の業法においては、混獲が多いことから数量管理によって他の魚種の漁獲にも影響が生じる。
というような点が挙げられます。
これらの疑問に対して、当然ながら政府は説明を行う必要があります。
そして、その説明は魚種によっても異なってくるため、魚種ごとにていねいな説明と議論を行う必要があると考えます。
現在は、資源管理手法検討部会、ステークホルダー会合という場でその説明と議論を行うこととされていますが、漁業者側としては、いったんステークホルダー会合に入ってしまえば、そのまま押し切られてしまうという不安が強いため、ステークホルダー会合に入る前に、どのようにして、漁業者への説明、議論の場を作っていくかが課題です。
水産庁側の人員体制も限られているため、重要な魚種から優先順位を定めて、順番にていねいな議論を行っていくしかないのでは、と考えています。
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