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漁業の成長産業化に必要な視点①

日本の一次産業の成長産業化を目指すことが謳われてから、久しいです。


日本の農業は、国土面積が非常に狭く、条件面で諸外国と不利ですので、成長産業化を図るといっても実際には非常に厳しい面があります。


林業も、日本の山は非常に急峻で、機械化が難しいために、収益を上げるのは困難な状況です。


漁業も今は、多くの漁業者が補助金がなければ採算をとるのが難しい状況と言われていますが、日本の漁業は条件面で他の国と比べて不利ではないために、本来であれば一番成長産業化しやすい、しなければいけない産業でしょう。


しかしながら、これまでと同じことを続けていても、新しい未来は切り開けないため、変えること、構造改革が必要になると考えます。


ここでは、漁業者一人当たりの漁業収益をどのようにして上げるのか、考えたいと思います。


収益=(漁獲量 × 販売単価)ー 生産コスト


ですので、収益を増やすため、①漁獲量、②販売単価、③生産コスト、の3つの要素をどのように変えることができるのか、考えます。


まず、①漁獲量についてですが、水産資源は養殖を除けば天然資源であるために、結局は、限られたパイを何人で分けるのかという話になります。(前提として、資源管理によって本来、海の生産量から見込める水産資源が維持されていることが必要ですが。)


特に、昔は、沿岸で魚が十分にいなければ、沖合に出て、沖合にも十分にいなければ遠洋に出て、ということで拡大路線が続いていましたが、今は、日本だけではなく他の国も魚を獲るようになり、天然魚の拡大路線は不可能な状況です。


そうした限られた水産資源に対して、漁業者の人数が多ければ一人当たりの漁獲量が少なくなります。一方で、漁業者の人数が少なすぎれば、漁業を続ける上で必要なインフラ基盤を維持できなくなるおそれがあるため、適切な漁業者数の設定が重要です。


現在、日本の漁業者数は急速に減少しています。20年前の2003年には23.9万人だった漁業者数は、高齢化の進展等によって2021年には12.9万人となりましたが、特に2021年には前年から一年間で4.7%減少していますので、このままのペースで減少が続くと、10年後には8万人を切ることが見込まれます。


資源管理さえしっかりと行っていれば、10年後、20年後には一人当たりの漁獲量は増えることが予想されますので、それまでの間にセーフティネットを機能させて漁業を続けることがることができれば、①漁獲量の観点からは、長期的には漁業者一人当たりの収益の改善が見込まれます。




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