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  • makotokumei5

水産改革のコスト負担について

改正漁業法に基づく、新たな資源管理の推進について、漁業関係者の理解と納得が十分に得られていないとの声が挙がっています。


八木信行編「水産改革と魚食の未来」の序章にて、「改革に伴うコストや痛みは即座に発生する一方で、改革の成果は何年も後にならないと見えてこない。そもそも、本当に成果が出るかもよくわからない。」と記載されていますが、その通りだなと思います。


現在、多くの魚種で過去最低の不漁が記録されているほか、更にコロナ禍によるこれまであった需要の減少などによって、多くの漁業者が厳しい環境にある中で、まずは当面の生活のために漁獲量を確保することが大事であって、資源管理のために漁獲量の削減を求められても困るというのも、漁業者の立場にとってみれば当然の考えと思います。


漁獲量の制限は、資源を増やして将来の漁獲量を増やすために行うのであり、いまそれを行わなければ、将来もっと厳しくなることを伝えても、そもそも科学や水産資源管理には不確実性が多く存在する中で、いま我慢をしても、確実に将来収入が増えるかどうかはっきり分からない中では、リスクをとりたくないということでしょう。


漁獲量の制限によって収入が減少した分に対しては、収入安定対策によって基準収入の9割まで補てんされる制度があるものの、基準収入は過去5年中の最大と最小を除いた3年の平均であるため、収入が毎年下がっていった場合には、結局、補てんされる金額もどんどん少なくなることとなります。


これが一般の企業や事業者であれば、経営環境が悪化して事業が赤字となれば、最終的には撤退やむなしということになりますが、漁業生産活動は、国の食料安全保障にとって重要であり、海に囲まれている日本で漁業が衰退すれば、世界的に食料需給がひっ迫している中で、日本国民が困ることになります。


このため、漁業者の経営が安定して、短期的な経営状況の悪化によってすぐに撤退してしまわないように、国が一定の支援を行うことは、合理的な理由があると考えます。


一方で、厳しい経営環境にある漁業者に対して、無条件で支援を行い続けることは厳しく、国民の理解を得ることも難しいでしょう。将来は経営状態が改善して、国の支援がなくても漁業経営が成り立つようになるのが目指すべき姿であり、ただしその将来が実現する前に漁業が完全に衰退してしまわないような支援が必要なのだと思います。


実際に制度を作ろうとすると難しい部分が多くあると思いますが、理想としては、漁獲制限による獲り控えに対して、収入減少分を補てんするような金額を国が先に支払うものの、将来に収入が増加した際には、増加分の中から返済を求めることができればよいと考えます。


ただし、この場合であっても、無条件での支払いではなく、魚種ごと、管理区分ごとに、資源回復のシュミレーションや、適正な漁業者数、漁船能力などについて、研究者も交えた議論を行い、将来の資源回復と漁業収入の増加が見込まれ、そのために必要な資源管理の取組や経営の合理化が実施される場合には、これに対して国が支援をする理解が得られるものと思います。




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