伊豆半島ジオパークの中にある城ヶ崎海岸・富戸(ふと)の定置網漁業を訪問しました。
城ヶ崎海岸がある相模湾は、沿岸からすぐに水深が深くなる海底の地形のため、漁港から船で5分ほどの場所に定置網が設置されています。
年間を通して様々な種類の魚が網にかかるとのことですが、今回は、ブリ、アジ、サバ、イカなどが漁獲されていたほか、1.3メートルほどの大きさのサメも網に入っていました。
全国の漁業者の高齢化が進み、2021年の沿岸漁業者の1人当たり漁労収入が年間114万円と低迷する中で、富戸の定置網漁業は、若者の参入もあり、漁業者の収入や就労環境は、他の沿岸漁業者よりも恵まれているとの話を伺いました。
それでも、10年前と比べると魚の獲れる量が減って厳しい状況とのことですが、今後、良質なタンパク源としての魚の需要が更に高まることが想定され、かつ国内の漁業者数は減少傾向になる中で、今を頑張れば、この先はもっとよくなるだろうとの話が印象的でした。
ただし、定置網漁業は待ちの漁業である一方で、魚を獲りに行く漁船漁業においては、ソナーの発達などで漁獲能力は高まっていることもあり、海洋環境が変化する中で適切に水産資源を管理していくためには、回遊性の多くの魚種においては、共通の物差し(数量)での管理の導入が重要とあらためて感じました。
また、多くの沿岸漁業者が1人で操業する船に乗って漁を行うことが多い中で、1人での操業で十分な漁業収入を上げるのは全国的に難しくなってきており、定置網のように、協業化による収益の向上を図りやすい漁法の方が経営が安定する場合が多いように感じます。(定置網を設置できる場所は限られているため、皆が定置網を行える訳ではありませんが。)
Comments