来年度(令和5年度)の水産予算の概要が明らかになりました。
まだ最終確定の数字ではありませんが、現時点で報道されている情報によれば、当初予算と補正予算を合わせた予算総額は、
・今年度(令和4年度)が3,200億円
・来年度(令和5年度)が3,205億円
であり、全体としては、ほぼ同水準です。
予算の大きな枠組みに変化はありませんが、燃油価格の高騰やウクライナ戦争などの情勢を踏まえて、
・漁業経営セーフティーネット構築事業(燃油対策等)(107億円→348億円)
・食料安全保障の強化に向けた構造転換対策等(2億円→50億円)
・漁協経営の基盤強化(広域浜プランに基づく養殖餌の安定供給等の実証的取組など)(9億円→27億円)
・水産多面的機能の発揮等(赤潮対策等)(57億→65億)
などが増額しています。
一方で、
・漁業収入安定対策事業(794億→582億)
・資源評価の推進(72→68億)
・漁船等のリース方式による支援、機器等導入支援(321億→246億)
は減少しています。
なお、予算総額に占める漁業経営安定対策関係(漁業収入安定対策事業と燃油対策等)の割合は約29%ほどで、依然として最も大きな割合を占めています。
この漁業経営安定対策関係の予算は、沿岸漁業を中心に今困っている漁業者のセーフティネットととしての機能を有していますが、本来、目指すべきことは、採算がとれない漁業者を政府が補てんし続けることではなく、採算がとれる漁業構造の構築に舵を切ることです。
そうしたことについて、こちらの記事(日本の水産業の発展に必要な予算のあり方)にて説明しています。

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